悪徳商法
クーリングオフ
>>クーリングオフとは
クーリングオフとは『一定の期間であれば消費者が事業者との間で申込みまたは締結した契約を無理由・無条件で撤回・解除することができる権利』をいいます。 民法ではいったん契約をしたら守らなければならないというルールがあり、一方的に契約を解除することは原則として認められていません。 しかし、クーリングオフ制度は消費者からの一方的な契約の解除を認めていますので、民法の契約ルールの例外的な制度といえるでしょう。 では、なぜ民法の原則的なルールの例外であるクーリングオフ制度が必要なのでしょうか? これは、訪問販売や電話勧誘販売は業者主導の不意打ち的で攻撃的な販売方法であり、消費者が契約意思不確定のままで契約を締結しがちであるので書面により正確な情報を提供したあと一定期間は冷静に考え直す機会(熟慮期間)を与えようという趣旨で、この制度のことをクーリングオフといいます。
>>クーリングオフの要件
例)訪問販売のクーリングオフの場合 1.契約をしたのが営業所以外の場所であること 2.法定契約書面が交付された日から8日以内であること 3.代金の総額が3000円以上であること 4.クーリングオフしたいものが特定商取引法で指定された商品・役務・権利であること 5.書面によって業者へクーリングオフを通知すること
>>クーリングオフの通知について
クーリングオフの通知はどのようにすればよいのでしょうか?
クーリングオフの通知は書面でします。 書面は、ハガキでも封書でもいいのですが内容証明郵便でクーリングオフの通知することをお勧めします。内容証明郵便を利用すれば、クーリングオフの通知をしたこが証拠としてハッキリ残るからです。
クーリングオフの期間はどのくらいなのでしょうか?
一般的にはクーリングオフ期間は法定契約書面交付の当日から計算して8日間です。 マルチ商法などのクーリングオフ期間は20日間となっています。
クーリングオフはいつから効果が生じるのでしょうか?
クーリングオフの通知は発信した時に効果を生じます。 消印がクーリングオフ期間内であれば有効なのです。 よって内容証明が業者に届くのがクーリングオフ期間後になってしまっても構いません。
内容証明
クーリングオフは内容証明で通知するのがベストです。ここで内容証明について勉強しましょう。
>>内容証明とは
『内容証明とは郵便物の内容である文書についていつ、いかなる内容のものを、誰が誰にあてて差し出したかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明する制度』のことです。 つまり、内容証明とは『手紙であり、その内容が公的に証明されたもの』なのです。
>>内容証明を使う場合
・確定日付ある証書による通知が必要な場合
例)債権譲渡の通知など
・通知の内容が重要な場合
例)契約解除の通知 クーリングオフの通知など
・心理的圧力など副次的な効果を利用する場合
例)債権回収の通知 各種の損害賠償請求の通知など
>>内容証明が届かなかったら
せっかく内容証明を送ったのに相手に届かない場合があります。 届かない原因とそのときの法的効果は以下のとおりです。
受取拒絶 | 相手方が内容証明を受け取らない場合です。この場合、内容証明は封筒に入ったまま受取拒絶の紙きれがついて差出人に戻ってきます。 |
受取拒絶 | 相手方が留守の場合は、配達されずに郵便局で7日間保管されます。内容証明は受領印をもらう必要があるため郵便受けに放り込むわけにはいかないからです。相手方が7日以内に取りにこなかった場合は『不在で配達できないため還付(留置期間は7日間です)』と書かれた紙切れがついて戻ってきます。 |
受取拒絶 | 相手方が倒産して夜逃げした場合などです。この場合は転居先不明の印が押されて戻ってきます。 |
法的効果
民法では『隔地者に対する意思表示はその通知が相手方に到達した時からその効力を発生する』と定められています。これによれば留守や居所不明で配達されなかった場合は、相手方は内容証明の中身を見る機会がないので意思表示到達の法的効果は発生していないといえるでしょう。 しかし受取拒絶で配達されなかった場合は意思表示到達の法的効果は発生します。なぜならば、民法でいう『到達』とは通常の状態で相手方が通知の内容を知りうる状態になることだと解釈されていて、判例もこれを支持しているからです。 ですから本人のみならず家族の者が受取を拒絶した場合でも、意思表示到達の効果は発生します。この場合受取拒絶の紙切れがついて戻ってきた内容証明こそが立派な証拠になるのです。
>>自分が内容証明を受け取ってしまったら
内容証明は単なる手紙ですので返事を出すかどうかは受け取った人の自由です。 『本書到達後、7日以内に回答のないときは、当方の主張を承認したものとみなします。』などと記載された内容証明を目にすることがありますが、本当に差出人の言うような効果が生じるのでしょうか? 先程も言ったように、内容証明は単なる手紙ですので基本的には受け取っただけで上記のような法律的効果が生じることはありません。 しかし、場合によっては一定期間内に返事を出さないと一定の法律的な効果が生じてしまう特別な場合もあります。そういった場合は法律上の効果をよく検討して返事を出すか出さないかを決めるようにしましょう。 もし、自分だけで判断ができないようであれば弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に聞いてみた方がよいでしょう。