相続・遺言
相続
>>相続の進め方
相続は、人が亡くなった瞬間から始まります。悲しみのなかでの葬儀、埋葬、死亡届、そして保険・年金等の受け取り、名義書換、等々、様々な手続きを必要とします。とりわけ相続人にとって大事なことは、故人の遺した財産を誰が引き継ぐかを決める話し合い(遺産分割協議)でしょう。
さて、この遺産分割の話を、相続人の間で具体的に進める前に、まず遺言書の有無を確認しなければなりません。遺産は、遺言書がある場合は、そこに書かれているとおりに、なかった場合は、民法に定める相続人が相続分に従い、または相続人全員での協議で遺産を分割し、引き継がれるのが原則です。ですから、 遺言書の有無は遺産分けをする上で大きなポイントになります。
そして、次にしなければならないことは、相続人の特定と、遺産の内容の把握であります。
>>法定相続人
「相続人は自分と子供だけ」などと決めつけないでください。もしかしたら故人には先妻との間の子供が、 あるいは認知した婚姻外の子がいるかもしれません。そうしたことの有無を確認し、法定相続人を確定する必要があります。 そのためには故人の、13才位から死亡時迄の間の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本等を遡って取り寄せて調べる必要があります。
法定相続人とは、民法で定められた相続の権利を有する人で、次に挙げる「配偶者」「子」「直系尊属」「直系卑属」「兄弟姉妹」に大きく分けられます。
>>相続分
遺言書がない場合は法定相続人が、次の法定相続分にしたがって相続できることになります。ただし、必ずしもその割合で分けなくてはならないということではなく、相続人間の話し合いで全員が納得すれば、法定相続分と異なる分け方もできます。 法定相続分とは、民法で定められている法定相続人の相続割合を示したものです。法定相続分は、法定相続人の組み合わせによって異なります。
>>相続財産・債務の把握
故人が遺言書などに財産を書き残してくれてあれば別ですが、いくら家族であっても故人の持っている財産は詳しくわからないものです。土地・建物の不動産は権利証や登記簿などで調べられますが、現金・預貯金・株券・証券、また借金などは、生前に故人から聞いた話とか、身の回りの書類、郵便物とか貸金庫の中などを調べて把握することになります。
相続財産とは、「被相続人に属していたすべての権利義務」のことです。つまり不動産や金銭のようなプラスの財産と、借金のようなマイナスの財産も含みます。親が生きている間は、子供だからといって親の借金を肩代わりする義務はありませんが、親が亡くなり相続財産をすべて受け継ぐ場合は、親が残した借金も相続しなければなりません。
遺言
>>遺言書の作り方
- 1. 普通方式
- (1) 公正証書遺言
証人二人以上の立会いのもとに公証人が遺言書を作成します。 偽造・変造等のおそれはなく、公証人が内容を確認しますので、後日無効になる心配もありません。 また、他の遺言方法と異なり、家庭裁判所での検認手続きが不要です(但し法務局における自筆証書遺言書保管は同様に検認手続きが不要)。 最も安全で確実な方法といえます。通常は、公証人役場に遺言者が出向いて行いますが、病気などで行けない場合は、公証人の方が、遺言者のもとに出向くことも可能です。
(2) 自筆証書遺言
便箋など適宜の用紙に、遺言の内容全文・日付・氏名を自署し、押印することが必要です。 手軽に作成できますが、後日、自署や内容の解釈で問題になったり、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがあります。 また家庭裁判所で検認手続きを受ける必要があります。
(3) 秘密証書遺言
内容を記載した遺言書(自筆である必要はありません)に遺言者が署名押印し、封筒に入れて封印し、公証人と証人二人以上に提出してその確認を受けます。実際に利用される例はあまりありません。
- 2. 特別方式
- (1) 危急時遺言
病気やその他の事由で、死亡の危急に迫った者が遺言するときに認められた特別な方式です。
(2) 隔絶地遺言
伝染病のため隔離された場所にいたり、船の中にいたりなど、普通の方式の遺言が困難な場合に認められた特別な方式です。
>>新しい遺言書の保管制度
令和2年7月10日から法務局において、自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。作成は自筆で行いますが、保管を法務局が行います。相続人は相続が発生すると遺言書の存在を確認したり、遺言書情報証明書の交付請求ができます。自筆証書遺言書保管制度により保管されている場合は、家庭裁判所での検認手続きは不要です。