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債務整理FAQ
質問一覧
解答一覧
- Q1自己破産した場合の不利益は
- A1現行破産制度に、懲罰的な意味合いはなく、自己破産をしても、選挙権がなくなる等、公民権が停止されることはありません。但し、会社の取締役や司法書士・弁護士等法律上その資格を失うものがありますが、一般的にはあまり関係ないでしょう。また保険の外交員や警備会社の警備員等は続けられなくなる場合があります。
しかし通常は仕事も続けられますし、職場に直接通知が行くこともありません。仮に会社に知られてしまったとしても、会社は破産を理由に解雇することはできません。
財産がほとんどない同時廃止型破産(不動産などの高額な資産を持っていないとき)の場合は、実質的不利益はほとんどありません。一番大きな不利益は、以後5年から7年程お金がどこからも借りられないことでしょう。
不動産を持っている場合などは、破産管財人が選任されますが、郵便物が破産管財人を経由してから届くなどの不自由はあります。
破産手続きをとると、取立も止まります。破産すると業者が押し掛けてきて、大変なことになると誤解されている方も多いですが、現実にはそのようなことはありません。貸金業法では、債務者が破産手続き等を申し立てた場合は、直接取立をすることが禁止されているからです。
破産申立をすれば平穏な生活が取り戻せますし、債務者にとってはメリットの方が多いでしょう。
しかし気を付けなければならないことがあります。それは破産者をねらってお金を貸し付けようとする違法業者(ヤミ金融)が、存在するからです。現在破産をすると主に東京の業者から、「即融資」「破産していても貸します」などというダイレクトメールが次から次へと届きます。これらは100%ヤミ金融で、10日で1割という高金利(いわゆるトイチ)を請求してきます。中には10日で6割などという業者も現れています。一度借り入れしたらまず返せる人はいません。そんな業者に引っかからなければいいだけの話ですが。
- Q2破産手続きは自分でもできるのか
- A2
破産手続きは、弁護士に頼まなければならないと考えている方が多いですが、実際は、弁護士に頼まなくてもできます。また弁護士費用は高額だといわれていますが、弁護士事務所によって費用はまちまちで、比較的安くやってくれるところもあります。
また司法書士に書類の作成を依頼することもできます。一般的に司法書士の方が、費用が安いことが多いようです。なお司法書士は平成15年4月に法律が改正されて、簡易裁判所の事物管轄に属する事件について弁護士と同じ仕事ができるようになりました。司法書士は債務整理を手がける専門家です。司法書士は全国各地に事務所を構えていますから、困ったときはまず相談することをお勧めします。
破産申立は自分でもできます。ちょっと大きな本屋さんに行けば、破産申立書の書き方が書いてある書籍がおいてありますから、それを参考にするとよいでしょう。数百円で買えます。また裁判所には自分で申し立てる人のために、パンフレットとチェック式の申立書を用意してあるのが普通です。
裁判所に納める予納金を、不動産などの資産がない場合は現金で1万290円(裁判所によっては額が違うところもあります)、切手を約3000円くらい納めなければなりません。自分で申立をすれば、かかる費用はこれだけです。なお不動産を持っている場合は、通常最低でも20万円くらいの予納金を要求されます。但し近年は不動産を持っていても、いわゆるオーバーローン(売却しても抵当権者に支払うべき借金に足りない場合)の場合は、通常の予納金だけで手続が進むことが多いです。高額の予納金は申立後に、自分で積立をして後日納めることもできますので、申立時に必ず必要というわけではありませんが、なるべく申立時に用意すべきです。
近年「少額管財」と呼ばれる処理をする裁判所が増えてきました。不動産がなくても20万円の予納金を要求されることがあります。これは裁判所によって取扱が違います。
なお自分で申立をした場合、専門家が関与した場合と違いがでてくることはあり得ます。結果的には専門家に頼んだ方がかえって安上がりということもあります。専門家は単に手続をするだけではなく、適切な手続の選択、今後の生活の指導などのアドバイスをします。そして悪質な業者から債務者を守ってくれます。費用の準備ができない場合は法律扶助を使うこともできる場合がありますから、お金の心配よりもまずは専門家に相談するべきだと思います。
- Q3破産しても商売は続けられるか
- A3
商売をしている個人事業主が破産した場合、破産後も商売が禁止されるわけではありません。現にそのまま事業を続けている例もあります。もっとも銀行の取引停止処分を受けるので、取引先の信用も失うでしょう。手形決済が必要な事業では、事業継続は難しいでしょう。しかし商売を続けるために無理な資金繰りを続けると、ますます借金が増える一方で、迷惑をかける人が多くなるばかりです。まだ貸してくれるところがあるうちは、まだ大丈夫なような錯覚に陥りやすいのですが、借金返済のためにまた借金をしているのであれば、もはや限界です。借金の整理をする決意が必要でしょう。現実としては商売はごく小さな規模の場合にそのまま継続できる場合がほとんどでしょう。
個人事業主の場合、小規模個人再生手続を利用することが適していることがあります。この手続は商売を継続することが前提となっています。破産せず事業を継続しながら、今ある債務を整理することができます。
- Q4ギャンブルが原因で借金をした場合は破産できないというのは本当か
- A4
誤りです。破産というのは債務が支払えるのかどうかという単なる経済的状態だけで判断されます。借金がこの先も支払える見込みがないのなら、それは破産状態ですから、破産申立できます。しかし破産申立をして破産決定が出たとしても、その後の免責手続(借金の支払義務を免除するかどうか審査する手続)において、ギャンブルが原因の場合は、不利になります。法律上は免責されない部類に入ります。よく言われるギャンブルが原因の破産はできないというのは、実際は、破産をしても支払義務を免れることができないかもしれないということなのです。
ギャンブルが原因といっても、本当に全てがギャンブルが原因なのでしょうか。支払済みだが、過去に支払っていた自動車のクレジットなどがありませんか。最初に借り入れたのはごくわずかで、あとはほとんど返済のために借り入れたのではありませんか。通常100%ギャンブルが原因で借金ができる人はいません。従って、裁判所もギャンブルがかなりの原因を占めているとしても、借金の一部を支払うことを条件に、免責決定を下すなどの現実的運用を行っています。借金が膨らんだ経緯も大事ですが、その後の支払の努力などを見て判断してくれるのです。
原因がなんであれ、借金が膨らんでしまえばどうしようもありません。放っておいても、ますます借金は増えるばかりで、債権者や保証人などに迷惑をかけることになります。支払う努力をするのは当たり前ですが、それでもだめなときは破産申し立てするのも、悪いことではありません。
実務上はそのまま借金を放置して債務者を一生借金の奴隷としても、何も解決しないので、一定額を積み立てさせて配当(債権者にお金を配ること)することで、残りは裁判官の裁量で特別に免責にするという扱いが多いようです。これは裁判官の考え方によるところも多く、ギャンブルが理由だと破産決定を出さず、取下を勧告する裁判官もいます。これは法律の建前から言えばおかしな取扱です。破産は支払えるかどうかただそれだけで判断されることであり、破産者の債務を免責するかどうかをその後の免責手続きで考慮するというのが現在の破産法の規定だからです。従って例えギャンブルが原因であっても、破産状態であれば破産決定を出さざるを得ないのです。
破産決定が出ると、と言うより破産申立があると、ほとんどの債権者が取立をあきらめます。無駄なことに労力をかけても仕方ないですし、勝手に取立をすることも許されないからです。その後仮に免責不許可となってもそれを理由に請求を再開する債権者はごくわずかです。そういう実状からしても、ギャンブルを理由とした借金でも破産はできるし、した方がよい場合も多いということになります。
平成13年4月から個人版民事再生手続の申立ができるようになりました。民事再生により、一定の金額を3年から5年で支払えば、たとえギャンブルが原因で借金をした場合でも、残りの債務は免除になります。免除してもらう基準として、ギャンブルによる借金かどうかは問いません。
- Q5家族に内緒で破産をしたい
- A5
破産を申し立てたことが家族に直接通知が行くわけではありませんが、裁判所から郵便物が、自宅に書留で届いたりするため、隠し通すことは難しいかもしれません。どうしてもという場合は、自分宛郵便物の郵便局留めを郵便局に願い出れば、自宅に配達されずに郵便局に保管されるという制度があるので、これを利用する方法もあります。これならば郵便物でわかってしまうことはありません。ただ、まれに配達されてしまうこともあり完全ではありません。
破産をしても債権者は通常は取立に来ませんが、中には取立に来るような悪質な債権者もまれにいます。また債権者からの電話連絡を取れないようにしていると、債権者も連絡したいのに困り、取り立てる目的でなくても自宅を訪問せざるを得ないこともあります。この場合家族に当然知れてしまうことになります。
内緒でやりたいというのは自由ですが、もし家族にわかってしまったときのことを考えてみて下さい。なぜここまで内緒にしていたのかともっと悪い結果にならないでしょうか。
仮に債務整理が内緒でうまくいっても、また同じ事の繰り返しにならないでしょうか。
そもそも家族に内緒では、絶対に問題は解決しないのです。借金の原因が家庭問題と絡み合っていることが多いでしょうが、内緒で破産したいなどという状況にまでなってしまったら、家庭問題からも目を背けるわけには行かないのではないでしょうか。第三者を間に入れるなどして、家族に事情を説明し家族の理解を求めて、家族で再出発をはかるのが一番です。
- Q6サラ金の借金が多く何とかしたいが、まだローン返済中の住宅がある。子供の学区が変わるのもいやなので、なるべく今のところに住み続けたいが、現状では破産状態である
- A6
住宅ローンの金利が現在の金利水準で高いようならば、借り換えを検討してください。しかしそれだけでは解決しないくらい借金が膨らんでいるのが通常ですし、また借り換え自体不可能であることも多いのが現状です。サラ金の借入分のみを調停にかけて、月々の返済額を減らして、さらに住宅ローンも話し合いで返済額が減らせれば、破産しなくても何とかなる場合もあります。身内に資金援助者がいて、サラ金の借金をある程度整理できるのなら、さらに何とかなる可能性は高まるでしょう。
サラ金の借金だけ何とかするというのは、不可能なので、将来的に破綻することがわかっているのなら債務整理をせざるを得ないでしょう。放っておくとますます借金は増えるばかりで、結果的に迷惑がかかる人を増やすだけです。民事再生手続の住宅ローン特則を利用できれば、住宅を手放さずに債務整理を行うことができます。それが利用できるかどうかは専門家が判断しないと難しい面がありますので、司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。
民事再生が利用できないとなれば、破産も検討しなければなりません。破産をすれば当然不動産は手放さなければなりませんが、すぐに自宅からでなければならないわけではありません。売れるまでは住み続けられるので、その間に新しい引越先を見つければよいのです。子供の学区が変わるのがいやなら近くに引っ越せばよいですが、破産したということが人に知れて、住みづらい場合もあります。そういうときは知っている人のいない場所の方がかえっていい場合もあります。
また、住宅ローンが借金のきっかけなら、マイホームにしがみつかずに将来の生活のことも考えて、ここは不動産の処分も考えるべきです。自ら売りに出すということです。問題は不動産の価格が低くなってしまった現在では、売却代金だけでは住宅ローンが全額支払えない場合があることです。不動産売却と調停を組み合わせれば、支払える場合もあり、それで完済となれば破産しなくてすみます。また売却後に民事再生という方法もあります。
一番いけないことは、住宅ローンの支払いのためにサラ金から借り入れることです。傷口をどんどん広げているだけで、破産への道をまっしぐらに進んでいることに気づくべきです。
- Q7息子が借金を繰り返し、身内がその尻拭いを何度もさせられている。もうお金を借りられないようにしたいが、何か手だてはないか。
- A7各都道府県にある貸金業協会で、貸出禁止依頼を受け付けていますが、受け付けてもらえない場合もあります。受け付けてもらえても、それが通用するのは、貸金業協会に加盟しているサラ金だけで、未加盟の所は貸してしまうこともあります。加盟していても、貸出禁止というのは強制力がないため、貸してしまう所もあります。業者は貸し出すことにより儲けが生まれますから、何度も何度も借りては、支払ってくれる人は優良客です。また借りる本人にも借りる権利がありますし、貸出禁止依頼は、あまり役に立たないと思った方がよいでしょう。
一番いい方法は、身内が支払わないことです。延滞を3ヵ月続けると、いわゆるブラックリストに載り、銀行もサラ金も5年から7年は、貸してくれなくなります。督促が来ると怖いので、もしくは本人の今後のことを考えるとなどの理由で、どうしても身内で払いたいという場合でも、業者の言いなりの額を払うのではなく、法的手続きもしくは弁護士による任意整理をすべきです。
自分で安価にできるのは特定債務調停法による調停手続きです。一般に特定調停と呼ばれます。業者の請求額は利息制限法を超えた違法なものですが、調停の場では通常利息制限法で再計算しますので、債務の額がかなり減ることが期待できます。また分割払いでも月支払額がかなり低くなりますので、業者に一括で支払えない場合にも、効果的な手続きです。ここまでやると業者側はうるさい顧客だということで警戒して、貸出をしなくなります。間違っても、業者の請求額をそのままポンと支払うことはやめましょう。身内が支払ってしまうと、ブラックリストにも載らないどころか、貸してもすぐに払ってくれる優良顧客名簿に逆に登録されてしまい、逆効果です。よく業者に直接もう貸さないでくれと頼んだ上で身内が支払うことがありますが、これは何の効果もありません。またいくら本人に二度と借金をしないと約束させても、業者から勧誘が来てまた借りてしまうことがあります。
なおよくあることですが、強く本人を問いつめても本人は借金全部を白状しません。身内に支払ってもらうという後ろめたさと、これくらいなら支払えるという安易な気持ちが相まって、過小に申告することがよくあります。すると残った借金がまた膨らんでと同じことの繰り返しになることがほとんどです。
もう二度と借金を繰り返させないためには、本人が借金をしたときに身内が支払わないことです。身内が支払ってしまうことは過保護です。本人のためを思って支払をするのでしょうが、かえって本人のためにはなりません。
以上のようにサラ金や信販会社、銀行はブラックリストに載ることで貸出を受けることができませんが、近年「ヤミ金融」と呼ばれる悪質業者が、ブラックリストに載った人をターゲットに激しい融資の勧誘を行ってきます。これは債務整理をすると必ずあると言ってよいでしょう。債務整理を行ったにもかかわらず勧誘してくる業者は100%ヤミ金融ですから、決して借りてはいけません。
- Q8サラ金から、息子の借金の支払いを要求されている。支払う義務はあるか。
- A8
支払義務はありません。但し、保証人になっていれば支払義務はあります。息子が勝手に保証人欄に親の名前を書いて判を押したような場合は、保証契約が有効に成立していないと考えられるので、支払義務はないでしょう。
支払義務のないものに請求するのは、金融庁ガイドライン違反ですから、財務局等の監督官庁に電話して苦情を申し立てれば、監督官庁から調査がなされ、請求は止まる事がほとんどです。悪質な取立には、告訴もできます。
- Q9息子がサラ金から借金をしている。全額親が払ってしまおうと思っているが、どこにいくらあるのか良くわからない。
- A9
まずは息子さんからどこから借りているのかよく聞いてください。そして業者に個別に電話して、現在の債権額を聞いて下さい。但し、本人でないと教えてくれないところが多いので、そのようなときは本人に問い合わせをさせましょう。借り入れている業者さえもよくわからないのなら、一時的に支払をストップすれば、請求がくるからわかります。
額がわかったら払えばよいのですが、ここで業者の言われたとおりの額を一括で払うと、業者にとって息子さんはいいお客さんとなってしまい、それこそ優良顧客名簿に登録されることでしょう。以後必ず業者から息子さんにまた借りてくれと勧誘の電話が行くことは必定です。もう2度と借りないと宣言した息子さんは、こうしてまた借りることになります。業者にもう貸してくれるなとお願いして支払う方もおられますが、これは何の効果もありません。
業者の請求額は違法に高利な計算によるものなので、額を少しでも減らすべきでしょう。従って業者の言うとおりの額を払うのではなく、調停手続を利用するとよいでしょう。調停をして利息制限法による計算で残元本を計算し直すと、必ず業者の言う額より減ります。3年以上支払っている場合は、0円になることもあるくらいです。またこれにより、業者は息子さんを警戒することになり、以後貸出をすることはありません(但し時がたてばまた借りられます。サラ金で5年。銀行で7年と言われています)。
なお、借りている本人はどこから借りているのか全てを話さないことがあるので注意が必要です。親に全部払ってもらうのは悪いとか、50万円の1件くらいなら自分でも支払えると思うのでしょう。こうして借金を残すとこれがまた膨らんで同じことを繰り返す可能性が高いので、どうしても親が支払う場合でも、この点には注意が必要です。
息子さんが破産状態なら、破産手続をさせることも真剣に考えるべきでしょう。親が借金を整理することは過保護です。それが息子さんの将来のためになるのかよく考えるべきです。
- Q10借金を残したまま、息子がいなくなった。家族の所にサラ金から請求が来る。支払わないと息子がどうなるか心配だ。利息が高いし、放っておくととんでもない額になるのではないか。
- A10
家族には支払義務はありません。但し、保証人になることを承諾して保証人になっている場合は支払義務があります。払わなくても息子さんが何か危険な目に遭うという事はないでしょう。放っておけば利息が膨らんで請求額は確かに大きな額になりますが、このまま5年間が経てば債権は時効で消滅します。
身内が一括で支払える場合でも、業者主張の額をそのまま払うのではなく、調停手続きをとった後、支払うべきです。調停手続きをとり、いわゆるブラックリストに登載されることで、息子さんは借金ができなくなります。業者の言いなりに支払うと、息子さんはまたどこかで借金を重ねることになりかねません。
もし、息子さんから連絡があった場合には、破産手続や調停手続きなどできちんと対処すれば逃げる必要はないことを説明してあげてましょう。
- Q11サラ金の借入が多く、金利だけでも相当な負担なので、低利の所に借換をしたい。
- A11
サラ金の借金返済のための、新たな借入は通常銀行では扱っていませんが、近年債務整理のための資金を貸し出す銀行もあります。また各地のろうきんが、多重債務者のために融資を行ってくれることがあります。この場合でも、保証人か、不動産の担保を要求されることが多いので、身内や親戚等にそのようなあてがない限り、現実には難しい場合が多いかもしれません。
農協では信用貸しをすることもありますが、これも上記と同様でなかなか難しいと思われます。
サラ金の利息が低くなれば支払えるのなら(月々の支払額が安ければ支払えるのなら)、特別債務調停法による調停をすべきでしょう。月々の支払額は安くなるし、残元本も請求されている額より、かなり減るのが通常です。しかし、調停をしたことが事故情報として記録され、いわゆるブラックリストに掲載されます。従って以後しばらく借入が出来なくなるのが通常です。
気をつけなければならないことは、雑誌の広告に載っているような「低利で一本化」という業者には絶対手を出さないことです。これらは違法な業者であり、借金は増えるだけです。全国で被害が続出していますので要注意です。
- Q12過去にサラ金から借金をしたが、住民票を移さずに住所を変え、借金はそのままにしておいた。今度住民票を現住所に移したら、そのサラ金から請求がしつこく来る。
- A12
その借入が5年以上前のものなら、時効により消滅している可能性があります。正確には、最後に支払った時から5年以上たっていれば、債権が時効により消滅していますから、その旨主張すれば支払う義務はありません。
また支払をすると時効が振り出しに戻りますので、時効消滅を主張したいのなら、支払わない方がよいでしょう。最近では、業者は、債務者が支払っていない間の法外な損害金(数十万円から多いときは数百万円)を支払うよう脅かしておいて、「今いくらかでも支払えば利息分は値引きします」などというダイレクトメールを発しています。この甘い誘いにのってしまい、わずかでも支払ってしまうと、時効の主張ができなくなりますから要注意です。
- Q137年前に最後に支払って、以後残りを返していない借金の請求が来た。あまりにしつこいので、2万円だけ払ってしまった。借金は利息だけで100万円くらいになっているので、とても支払えない。
- A13
本来時効により消滅しているので、その主張をすれば、支払わなくても済んだのですが、少しでも支払うと時効が中断し振り出しに戻ってしまいます。業者もこのことをよく知っていますから、支払うまではソフトに接し、少しでも支払うと強硬な取り立てに切り替えます。
あまりにしつこい請求というのが、悪質なものであるならば、強迫にあたる場合もあり、自由意思で払ったわけではないこともあり得ます。その場合は時効の消滅を主張できる場合も出てきます。
それほど強迫じみたことがなかったとしても、時効消滅を主張して、業者と話し合いを持つべきでしょう。かなりの減額で和解となった例もあります。
- Q14完済にいたらなかった7年前の借金を譲り受けたというところから、支払請求が来る。
- A14
債権を譲り受けたものが、債務者に自分が債権者であることを主張するためには、本来債権譲渡の通知をしなければなりません。譲渡の通知を受けていないのでしょうから、内容証明郵便を出せば、通常はそれで止まります。
監督官庁(財務局など)への電話での苦情申立も有効でしょう。
また近年、「取立詐欺」「脅迫詐欺」というべき詐欺事件が横行しています。○○債権管理組合や右翼団体を思わせる団体名で突然債権を譲り受けたから、回収する。連絡をよこさなければ自宅に行くようなことが書いてあり、ほとんどの場合携帯電話だけが連絡先として指定されています。譲り受けた債権やその金額については一切記載がありません。この手の通知は必ず無視して下さい。身に覚えがないと連絡するとかえって嫌がらせがひどくなります。
- Q15借金が膨らんでなかなか貸してくれなくなったので、週刊誌に載っていた東京の店に電話したら、○○電気に行ってビデオカメラをクレジットで買い、そのビデオカメラを買い取るからすぐ送って欲しいと言われた。利用しても大丈夫か。
- A15
いわゆる買取屋というもので、ビデオカメラはよくて7割くらいの値段でしか買い取ってもらえないでしょう。その後クレジット会社から商品代金全額の請求が来ることになり、借金が増えるだけです。しかもこのような行為は詐欺罪にあたり、債権者より追及される恐れもあるので絶対にこのようなしてはならないことです。
買取屋を利用したくなるようだと、もう借金がかなりの額になっているはずです。破産手続か調停手続をとった方がよいと思います。
- Q16雑誌の広告に、「高利な借金を低利融資で一本化」というものがあった。低利で借りられるならと思い、電話したら店まで来るように言われ、弁護士を紹介された。どうなっているのか。
- A16
整理屋と思われるので、利用しないことです。信頼できる弁護士かどうか確認できないのなら委任契約を結ばない方がよいでしょう。既に契約済みの場合は、自分の今までの債務整理の経過報告を求めて、それにきちんとした答えが返ってこないなら解約も検討した方がよいでしょう。司法書士もしくは弁護士で、この問題に詳しい方に相談されるとよいでしょう。
整理屋というのは、このような広告を出しておきながら、実際には融資をせず、提携の弁護士を紹介するだけです。弁護士なら大丈夫と思われるでしょうが、弁護士は介入通知を出すのみで、債権者へ支払を全くしないか、してもごくわずかしか行わないことが多いと言われています。債務者は月々弁護士に送金をさせられます。そのお金はほとんどが整理屋の手元に入っていたりします。弁護士の言うとおりに支払っていても、借金は減るどころか増える一方ということもあり、いつかは債権者から支払の請求がくることになります。なおこういう整理屋提携弁護士でも、ある程度債務整理を行っている場合もあり、一概に悪徳とは言えないのが現状です。心配であれば各地の弁護士会に問い合わせするなり、調査した方がよいでしょう。
整理屋提携弁護士かどうか判別しない場合は、その弁護士事務所に、自分の債務の支払い状況を書面で確認するとよいと言われています。きちんと業者に支払っている弁護士は、支払い状況をすぐに開示してくれますが、整理屋提携弁護士の場合、正当な理由なく開示に応じないのが普通です。また弁護士本人にあったこともないなら、かなり怪しいと思った方がよいでしょう。
整理屋でないにしても、最近世間を騒がした手形融資の形を取った詐欺ということもあります。いずれにしても週刊誌やスポーツ新聞に載っている同様の広告はほとんどが違法なものなので、絶対に利用してはいけません。
(広告の貸金業登録番号の括弧書きの数字を見てみてください。()は登録更新回数です。(1)という業者は登録したばかりであり、信用度が低いと考えてよいでしょう。)
- Q17サラ金の請求から逃れるため、夜逃げをして現在は住民票上の住所地から、遠く離れたところにいる。住民票を移す必要がでてきたのだが、請求がまた来るのではないか。
- A17
住民票を移すとおそらく支払請求が来るものと思われます。夜逃げをしたのが5年以上前なら、債権は時効により消滅しているので請求が来ても内容証明郵便で、支払を拒否すれば通常は、請求されることはありません。しかしごくまれですが自分が不在の間に裁判で判決を取られている場合もあり、この場合は差押等をいきなりされることもあり得えます。
現在の住所地で破産手続きをとることも検討すべきでしょう。
- Q18クレジットで電化製品を買おうとしたところ、取り扱いできないと拒否された。過去に何かトラブルがあったこともないのにどうしてか。
- A18
信用情報機関に誤った情報が登録されている可能性が高いと思われます。個人信用情報機関は、本人からの事故情報の問い合わせに応じてくれるので、まずは直接電話して問い合わせるとよいでしょう。もし情報が間違っていたなら訂正を申し出ることができます。
- Q19現状では破産状態だが、保証人に多額の債務の保証を依頼している。破産手続きをとりたいが、保証人はどうなるか。保証人には迷惑をかけたくない。
- A19
破産手続をとると、当然保証人に請求が行くことになります。従って保証人と以後のことをまず話し合うことが必要になります。破産後自分の支払える範囲で保証人に支払いを続けることにするのが、一番保証人の理解を得やすいですが、破産手続上、保証人のみに優先して支払をするのは、禁止されていますから、破産手続、免責手続全てが終了してから、任意に支払うというのが望ましい形です。しかし通常保証人はそれまで待てないでしょう。別の援助者を捜すことも必要かもしれませんし、保証人の理解を得られるよう説得することも必要かもしれません。
どうしても保証人の理解を得られなければ、保証人にも保証をした責任はあるのですから、関係悪化は覚悟の上で保証人に支払ってもらうしかありません。そこまではとてもできないと考えて、死んでお詫びする悲惨な例が後を絶ちませんが、債務者が死のうが死ぬまいが、保証人に債務は残るのです。死んでお詫びになどなりません。一生をかけてでも保証人に償う姿勢を見せて、初めて理解が得られるのではないでしょうか。
なお保証人も支払うことができなければ、保証人も一緒に破産手続をとるしかありません。不動産等とくに資力がないならば、保証人も破産することが近道です。
一番悪いのは、保証人に迷惑をかけたくないということで、事態を長引かせることです。このまま放置していても借金はますます増えるばかりで、結局保証人にもっと迷惑がかかることになります。破産を考えている状況なら、もう貸してくれるところはほとんどありません。新規に借りられるのは新たに保証人をつける場合だけでしょう。そうなるとまた別の保証人に迷惑をかけることになります。 保証人に迷惑をかけたくないというのは、誰もが思うことです。でも現実にはどうやっても迷惑がかかるのです。さらに傷口を広げないために債務整理を決断すべきでしょう。
- Q20夜中に自宅に訪問してきたり、親戚の家に支払請求をするなど、取立で迷惑している。
- A20
金融庁のガイドラインで、午前8時以前、午後9時以降の取立は禁止されています。また法律上支払義務のない者に対し、支払請求をすることも禁止されています。大声をあげたり、乱暴な言葉を用いたり、暴力的な態度をとることも禁止されていますし、勤務先を訪問し、債務者の勤務先での立場が不利益となる様な言動も禁止されています。以上のような違反事項があったら、監督官庁に直ちに連絡すべきです。
単に電話での請求だけというのは、違反とまでは言えないことが多いですが、破産手続や調停手続、民事再生手続をとれば、債務者に直接取立をしてはいけないことになっていますので、しつこい電話も止まります。
- Q21サラ金から借金が多額にあり、自己破産したいが、業者から法律の日常家事債務というものにあたり、破産しても夫に支払ってもらうことになると言われた。夫に支払い義務はあるのか(妻からの相談)
- A21
サラ金からの借金が日常家事債務に当たる場合はまずないです。サラ金は貸し出しをする妻を審査して、妻の収入のみをあてにして貸し出さなければなりません。ところが現実には夫の収入も借入申込書に記載させるところが多く、妻が支払えない場合には夫に支払をさせようと考えている業者が多いのは事実です。この質問の業者もそのような業者であり、法律に疎い者を脅かして何とか返済させようとしているのでしょう。もし現実に夫に支払い請求するなら、これは支払義務のない者に対する請求であり、金融庁ガイドラインに違反する行為です。夫が連帯保証人にでもなっていない限り、夫に支払い義務はありません。
しかしクレジットで生活必需品を買った場合、この債務が日常家事債務であると認定された裁判例もあります。しかし通常はそこまで考える必要はないでしょう。
- Q22クレジットカードを落としてしまったがどうしたらいいか。誰かに使われた場合その支払の責任は負わなければならないか。
- A22
急いでカード会社に連絡することです。そうすればそのカードが使えないようになります。万が一カードが悪用されても、クレジットカードには盗難保険がついているので、支払は保険金でカバーされます。届出日から60日前にさかのぼりそれ以降の損害金が保証されることになっているのが普通です。通常約款では不正使用されてもカード名義人が責任を負うことになっているので、保険がきかない場合は名義人の責任が問われることになります。
- Q23妻が無断で、私(夫)を連帯保証人にしてサラ金からお金を借りたらしく、サラ金から私に請求がくる。支払う義務があるのか。
- A23
勝手に契約書にサインされただけでは、保証契約は無効であり支払う義務はありません。業者に契約は無効である旨内容証明郵便で通知して、自分の名前では支払わないことです。しかしこれで業者が納得するかはわかりません。納得してくれればよいですが、現実に裁判となると、自分一人では対応が難しいでしょう。司法書士とともに本人訴訟を選ぶか、弁護士を選任して争うことをお勧めします。
大した額でなければ、利息制限法に引き直した上で、残元本を支払って解決してしまった方が結果的に安くあがる可能性もあります。
額が大きければ、妻は破産して、保証は否認(否定するということです)するというのも考えてはどうでしょうか。
- Q24知人に頼まれて商工ローンの保証人になった。その後知人が返済を怠りいつの間にか自分の不動産に根抵当権仮登記がされた。自分のところに請求がくるが支払えない。
- A24
仮登記はおそらく承諾書でなされたものと思われます。あなたは承諾書に署名した覚えはありますか? 通常業者はそこまでは説明していません。承諾書は白紙になっていたか、複写式になっていて、署名したら承諾書にも複写されているということが考えられます。きちんとした承諾書に署名していたとしても、豪奢の説明が不十分なら争う余地があります。承諾書が無効なものであると考えられるなら、訴訟で仮登記を抹消できる可能性はあります。しかしそもそもの保証契約が有効であるならば、保証人の責任は免れません。従って支払をどうするかを考えるのが先決です。根抵当権はあくまでも仮登記なのだから、すぐに不動産が取られるということはありません。新たに書類に実印を押さない限り、本登記されることもありませんが、商工ローンは、根抵当権仮登記の本登記訴訟を起こしてくる場合もありますので、注意が必要です。相手のペースで話が進まないよう気をつけることです。
訴訟を提起して、もしくは提起された訴訟の中で和解をするという手もあります。民事再生を利用することでうまく解決できることもあります。いずれにせよ早めの専門家への相談が必要です。
- Q25サラ金からお金を借りたが、たくさんの書類に署名押印させられた。中には白紙のものがあったが、何か不正に使われるのではないかと心配だ。
- A25
公正証書作成に使う委任状か、根抵当権設定仮登記申請に使う承諾書などがまじっていたことが考えられます。公正証書が作られると、不動産や給与の強制執行がされる可能性があります。差押前には公正証書が郵送されてきますから、事前に察知できます。
もし、まだ公正証書が作られていないのなら、公正証書を作ると思われる公証役場と、業者に対して委任の解除通知を内容証明郵便で出すという手も考えられますが、公正証書はどこの公証役場でも作成できますし、万全ではありません。
業者によっては、こういった書類が契約書と複写式になっているものもあります。このような場合、書面の意味の説明も受けていないのが通常でしょうから、委任契約自体を無効とした裁判例もあります。なお、貸金業規制法で白紙委任状の取得は禁止されています。
今になってどの書類にどう判を押したのかわからないのなら、業者に保管してある書類のコピーをもらえないものか交渉してみてください。
- Q26布団のクリーニングをするということで自宅にやってきた業者から、これは古くて健康に良くないからと新しい布団の購入を勧められ、ついその気になってしまい、50万円の布団をクレジットで購入してしまった。しかし高すぎるので、解約したい。
- A26
まず、クーリングオフできる期間かどうかを確認して下さい。契約書にサインして法廷の書面を受け取った日から8日以内なら、直ちに内容証明郵便にてクーリングオフの意思表示をすれば解約できます。
8日を過ぎている場合ですが、そもそも「古くて健康に良くない」というのは業者の方便で、全く根拠のないものであるし、商品である布団も50万円の価値があるものか非常に疑わしいので、錯誤、詐欺による無効、取消を求めることもできると考えられます。
- Q27友人から頼まれて、友人が返済はするという約束でサラ金から50万円借りて、その友人に渡したところ、友人が行方不明となり支払請求が自分の所に来て困っている。
- A27
借りたのは自分であって、友人にさらにお金を貸した事になります。その友人からお金を返してもらうことが先決ですが、行方不明となると返してもらうのは難しいかも知れません。サラ金からの請求を拒むことも難しいと思われますが、サラ金の金利は違法に高いので、調停を申し立てて法定金利で、今よりずっと安く払う方法もあります。
場合によってはサラ金も事情をわかっている場合もあり、サラ金主導で進められていることもあります。このような場合は、サラ金も貸金業規制法違反ですから、請求額は制限される可能性もあります。
絶対にしてはいけないことは、この借金を返すために他のサラ金から借りてしまうことです。これを始めてしまうと、自己破産への道を突き進むことになるでしょう。
- Q28クレジットの名義貸事例
1. 知り合いの電気店から、迷惑はかけないから名前を貸してくれと頼まれ、クレジット会社から電話が行くけれども、間違いないと言っておいてくれと言われた。クレジット会社から後日電話が来たが、はいはいと返事をしておいた。しばらく音沙汰はなく忘れていたのだが、先日その電気店が倒産して、買ってもいない商品の支払請求がくるようになった。多額のクレジットなのでとても支払えない。
2. ある日突然クレジット会社から督促状が届き、買った覚えもないビデオカメラの代金を請求された。知り合いの電気店から買ったことになっていた。以前その電気店からビデオカメラの新製品が出たら買おうと思うと話はしていたが、実際に買ってはいない。電気店は倒産したようだ。
- A28
名義貸しの場合はどの程度、販売店に加担していたかが問題となります。1. の場合は、債務者はクレジット会社の確認で売買を同意しており、販売店がクレジット会社から売買代金名目で立替金を得ることが目的であったことを、知らなかったとしても、その責任の全部を免れることは難しいでしょう。しかし、クレジット会社の確認の仕方に問題があったり、倒産寸前の販売店をクレジット会社が加盟店にしていたことに過失があれば、クレジット会社は全額を請求できない、もしくは一部しか請求できないという考えが成り立ちますし、実際そういう裁判例もあります。
2. の場合は勝手に名前を使われた名義冒用であり、立替払契約も無効ですから、支払う必要はありません。但し支払う必要はないからと無視していると、訴訟が起こされることが多いので、債務者の側からクレジット会社に連絡して、事情を説明する必要があります。2. の場合は、明らかに契約が無効であることがわかる場合は、クレジット会社に対する被害届を出せば以後請求されないこともあります。自らクレジット会社に連絡を取ってみて下さい。支払を拒んでもクレジット会社が納得しない場合は、放っておけば訴訟になる可能性が高いです。
裁判では本人の関与の程度により和解により解決されることが多いのが実状です。1. の場合は、一切支払わずにすむということはないでしょう。但しクレジット会社にも過失があれば、請求額は減額されるべきですし、契約書にも署名していないのであれば、②と同様に無効と判断されることもありえます。
2. の場合は無効であることを立証できれば、支払う義務はないでしょう。
裁判になった場合は、一人で対応せずに司法書士や弁護士に相談するとよいでしょう。
- Q29破産しなくても、債務の免除ができる手続があると聞いたが
- A29
平成13年4月から民事再生法が改正され、個人版民事再生手続ができました。民事再生は破産と特定調停の間のような手続です。要件は厳しいですが、3年から5年で一定額を支払えば残りの債務は免除されます。破産者にはならずにすみます。詳しくは民事再生についての説明をご覧下さい。
- Q30住宅を手放さずに、債務整理したい
- A30
平成13年4月から民事再生法が改正され、住宅資金特別条項を定めることができるようになりました。住宅ローンは原則全額支払うことになりますが、それ以外の債務については、3年から5年で一定額を支払えば残りの債務は免除されます。但し、住宅資金特別条項の定めをするには、厳しい要件があります。詳しくは民事再生についての説明をご覧下さい。
またそもそも今後住宅ローンを支払っていけるかどうかよく考えてみる必要があります。住宅資金特別条項を使うことで、月々の支払額を今までよりも低くするいわゆるリスケジュールを行うこともできますが、住宅ローンの支払は今後ずっと続くのです。住宅を持ち続けるということが無理な生活を強いることにならないか、よく考えましょう。
- Q31民事再生と、破産、特定調停の違いを教えて欲しい
- A31
破産手続は、今ある財産を債権者に平等に配当し、残りは免除してもらう手続です。個人破産の場合、不動産でも持っていない限り、通常配当するだけの財産がないのが普通なので、実際は破産申立により全く支払うことなく(裁判所の指導で、積み立てて配当することもあります)、債務の全額が免除になります。破産手続の間は破産者となります。生活上の不利益はほとんどありませんし、公民権の停止などという制裁もありませんが、一般には破産に対するイメージは悪く、破産者というレッテルは当人にとっては重みです。また無条件に債務を免除してもらえるわけではなく、ギャンブルや浪費が理由で借金を重ねていると免除にならない場合もあります。但し実務上は一部配当の指示があり、その努力によって裁量的に免除となることが多いですが。
収入があるものはその中から少しずつでも借金を返すのが、世間一般の常識であると説く人がいますが、そのような考えを持つ人にとって、当然取るべき手続が民事再生や特定調停ということになるでしょうか。
民事再生は、通常3年の間に一定額(詳しくは民事再生の説明をご覧下さい)を支払うことで、残りの債務を免除してもらう手続です。
これに対し特定調停は借金全額を支払うことになります。但し利息制限法で残債務を計算し直すので、支払はかなり楽になります。とは言っても全額を支払うわけですので、民事再生を選択したときよりも、支払額が多くなるのが普通でしょう。
となると民事再生が有利ということになりますが、民事再生は手続が複雑で、利用できる要件も特定調停より厳しいです。それをクリアできるのであれば、民事再生を選択するのがよいでしょうし、民事再生が利用できないのであれば特定調停ということになります。民事再生や特定調停を利用しても支払がきついようであれば、破産手続を選択することになります。
また民事再生や特定調停は、借金の原因がギャンブルや浪費によるものであっても、手続が利用できないということはありません。
- Q32住宅ローンを抱えているが、以前サラ金から不動産担保ローンを利用して借金を一本化した。民事再生の住宅ローンの特則を使って、住宅は手放さずに、サラ金だけ整理をしたいが可能か。
- A32
残念ながら、住宅ローン以外の抵当権がついていると民事再生の住宅ローンの特則を使うことはできません。住宅ローンの特則を使っても、住宅ローン以外の抵当権がついていれば、その抵当権が実行され、住宅が競売にかかってしまう可能性があるからです。これでは住宅を手放さずに債務整理をすると言う目的が達せられません。法律は最初からこのような場合は利用できないことにしたのです。
このようなことにならないためにも、サラ金の不動産担保ローンは利用しないことです。多くは他のサラ金の低利一本化とうたって、誘ってきますが、低利とは言っても、多少低いだけで利息制限法を越える金利です。到底支払えるものではなく、結局一本化して残をゼロにした業者からも再び借入をしてしまい、かえって借金を増やすのです。あげくはサラ金の勧めで不動産を売却して、なんとか借金を整理するということになります。サラ金に不動産を担保に差し出すくらいなら、その前に、民事再生手続を利用しましょう。
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